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「疑似科学」に騙されないで!

2018年10月12日 |  kenichi inaho

「疑似科学」という言葉を聞いたことがありますか?

小学館『大辞泉』によると、「いかにも科学的であるように見えるが、科学的根拠がなく、実証も反証もできない事柄。例えば、血液型と性格の関係など」と書かれています。

先日ご説明した自己啓発セミナーなどにも、同様の手法が取り入れられているものがあります。「アファメーション」(自己肯定)など以前から知られている自己啓発の手法を搔き集めて、それらを様々な学術的な用語で色付けしたものです。難しい言葉が出てくると、もっともそうな気がしなくもありません。ですが、たとえば、キリスト教関係の用語がたくさん登場する『エヴァンゲリオン』がキリスト教の教えを伝えているわけではないことは説明するまでもないでしょう。要するに、科学的に裏付けられているかどうかは別問題ということです。

「主催者がたくさん本を出しているから、正しいのでは?」と考えてはいけません。多数のゴーストライターを使えば、一人の著者の名前で1か月に何冊もの本を出し続けることは可能です。実際に、自己啓発書の読者を高額なセミナーや情報商材(DVDやストリーミング配信)に誘導し、そこで儲けるというビジネスモデルはすでに確立されています。

また、「主催者が『天才科学者』と呼ばれているから、正しいのでは?」と考えることも止めましょう。評価に足る研究業績があるかどうかは、海外の主要な学術誌に論文として掲載されているかどうかで把握できます。試しに、オランダの学術出版社エルゼビア社の提供する世界最大級の論文データベース「Scopus」(スコーパス)を用いて、「天才脳科学者」と喧伝されている日本人について調べてみました。すると、脳そのものに関するものはひとつもなく、しかも、今から22年前にあたる1996年以降のものはありませんでした。この人物は果たして「天才科学者」なのでしょうか?

この程度のことは、ちょっと調べれば誰にでもすぐに分かることです。きちんと裏付けを取る習慣を身に付け、「情報弱者」にだけはならないようにしてください。